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□苺時。
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休日、俺はブン太先輩の家に向かっている。


ブン太先輩が大好きな、甘い甘い、苺を片手に。





ピーンポーン





カチャッ


「いらっしゃい。」



満面の笑顔のブン太先輩に迎えられた。



「お邪魔します。」



つられて俺も笑う。





先輩の部屋へ向かう階段を上ってる最中。



「赤也、何持ってんの?」


俺の手に掛かってる袋を覗き込んできた。



俺は袋の中から、一粒取り出し



「苺。」



ブン太先輩の口に入れた。



「うまい?」



「甘い。」



部屋の扉の前に立ち止まったまま、もう一粒。


今度は自分の口に入れる。



「はっ?」


ブン太先輩の顎を掴んで、自分の方に引き寄せる。



「!…んっ…」



口移しでブン太先輩に苺を送った。



「どう?」



ブン太先輩は顔を真っ赤に染めて、目を逸らした。…マジ可愛い。





「まずい。」


「はっ!?ひどっ!!」



「いいから、早く部屋に入りやがれっ!!」


ブン太先輩の見事な蹴りが俺の尻にクリーンヒットした。


なーんだ。照れてるだけか。


「へへっ。」


自然と笑みが零れた。


「んだよ。気持ち悪いな。」


そんな俺を渋い顔でブン太先輩は見てくる。







まだまだ照れ屋な俺達だけど、

こんな日常が、好き。








俺達はまだ、苺のような時期。




〜end〜









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