短編

□その声。
1ページ/6ページ


その声を


知っていますか?





+知っている+





総悟。


何度も呼んだあなたの名前は、


私にとってお守りのようなもの。



でも。



「あんた、ここで何してんでさァ」


「邪魔…だった?」



あなたは一度も、私の名前を呼んでくれない。



「邪魔じゃねェけど、気になりまさァ」


「ごめん…」



名前を呼んでもらえない事が、


こんなにも辛いなんて。



唯一の取り柄である名前が、


こんなにも意味を成さないなんて。



私は、知っている。


あなたがどんな人か。


私は、知っている。


あなたの名前を。



あなたは、知っている?


私の気持ち。


あなたは、知っている?


私の名前。




fin.



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ