短夢編 2
□海の砂浜
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+海の砂浜+
青い海原。
白い砂浜。
「土方さん、砂山作りやせんかィ?」
「砂山ァ?餓鬼か、テメェ…」
「たまには付き合って下せィ。
ほれ、そっち固めて…。崩れちまいまさァ」
パタペタ…―、パタペタ…―。
「丈夫、なん、作りやしょう、っと」
「あ、あァ…」
ペタペタ、パンパン。
「出来やした。土方さん、トンネルも掘るでさァ」
「わかった…」
ホリザク…―、ホリザク…―。
「土方さんまでもう少し……、土方さんまでもう少し……」
「その掛け声止めやがれェェ」
ホリホリ、ザクザク。
「土方さんまで…、……あっ」
「………」
暗いトンネルの中。
優しい温もり。
「掴まえやした」
「…離せ」
「嫌でさァ」
「総悟ォっ」
夕焼け沈む、海の目の前。
トコトコ歩く、砂浜のカニ。
「なんか、恋人みたいですねィ」
「黙れ。つか、いい加減離せや」
背景は味方。
準備は出来た。
「いっそのこと…」
「あァ?」
気持ちノコノコ。
伝えて気持ち。
「恋人になりやせんかィ?」
月昇る空。
仲良く並んで座る、二つの人影と。
崩れ落ちた、一つの砂山。
fin.
⇒言い訳。