短編
□大人にも欲しい子供の日
1ページ/1ページ
ハッピバースディ。
大串君。
今日だけ特別に、祝ってやらァ。
+大人にも欲しい子供の日+
「大串君、何欲しい?」
「なんだァ、急に?」
「今日誕生日でしょ?金かからねェなら好きなもんやるぜ」
そーだなァ。
腕を組んで考え出す大串君。
そんなに真剣に悩まなくても、大串君の頼みならいつでも聞いてやるよォ。
銀さん大串君に依存症だから。
「おィ…」
「決まったァ?」
「……全部、聞こえてる」
知らず知らずの間に、俺は声に出してたようだ。
「いやいや銀さんなんも言ってねェぞ。あれだ、ほら。愛のパワーってやつ?
心まで繋がってんだなァ、俺たち」
「下らねェ事言ってんじゃねェよ。脳みそまで苺になったんじゃねェだろォなァ」
「大串君に言われるなら本望です」
「…っ、銀時お前。いつからMになったんだァ?」
おや。
「大串君も言うようになったなァ。なんだァ?誕生日だからか、コノヤロー」
「ちげーよ」
「ならなんですか?反抗期ですか?やだーうちの子遅いと思ったら今頃になって反抗期?」
体は大人、心は子供。
「あ、それ俺だわ」
「何一人で遊んでんだ…」
「でー。決まった?」
「んァ?…じゃァなァ」
大串君の答えを待つ俺は、どこか輝いて見えました。
あれこれ作文?
「取り合えず、名前で呼べ」
「そーいえば…ごめん、気にしてたァ?」
「別に気にしてねェけど…」
意味有り気にだんだん声をを小さくしていき、大串君は俺から顔をそむけた。
「やだなに、ツンデレ?大串君ちょー可愛いんですけどっ」
ツンデレ言うなァっ。
そんなに叫んで反抗しなくても…。
やっぱ反抗期ですかァ。
俺はそんな大串君を片手で引き寄せ、お望み通り言ってやった。
「好きだ、十四郎…」
「なっ…」
「誕生日はこれからだぜ」
なんで子供の日なんだろォなァ。
五月五日が。
子供の日に大人の祝いかたって……
「あァー…、それも萌えるわ」
「だから銀時、さっきから一人で何言ってやが…――」
「はーい、口閉じる」
優しく口付けしてやると、十四郎は黙り込んだ。
「十四郎は可愛いなァ」
ちょっぴり素直じゃないところが。
「銀さんお前なしじゃ生きていけねェ」
依存症だから。
「これからも俺の傍にいろよォ。十四郎」
「あァ…」
照れながら微笑む十四郎の唇に、
俺はもう一度口付けをした。
fin.