感染連鎖

SS(不定期/ジャンル不定)
◆快楽トランジスタ 

 
応答等は期待するはずもなく、ただただ純粋培養個人主義的な絶対愛に黙示録。

「好き、好き、大好き、」

ざりざり、ざりざり、砂のような不協和音の子守唄。連結しました。

「ナノニ何デ死ナナイカナ?」

ぷつん、ツーツー、ツー、トン、ツー、

「好き、好き、大好き、」



地獄の沙汰は菓子折り上段右斜め上に有り。




 

2011/02/15(Tue) 12:08 

◆達磨 

※(軽グロ+罵倒



達磨になりたい。

男鹿は、そう言って唇を寄せた。いつもならオレを支えてくれているはずの、男鹿の少し大きい手のひらがなくて、いつもより身体にかかる反動が大きいように感じた。

「…、なんで?」

キスの合間に呟いたソレは何だか舌っ足らずで、羞恥心に胸がシクシクと痛む。

「達磨」

男鹿は唇を離さずに、小さな仔犬みたいに、それだけを呻いた。男鹿の黒く潤んだ瞳に赤い球が見える気がした。

「古市を殴る手も、古市を蹴る足もない」

男鹿は唐突に、そう言った。馬鹿男鹿め、今更そんなん言われる程、殴られた覚えも、蹴られた覚えもねぇんだよ、馬鹿。そんな事を考えながら、侵入して来た舌に応えた。

「古市の事、護れなくなるけど、でも、」

いらんトコだけ器用な男鹿は舌を絡ませながら、呻いていた。馬鹿男鹿め、今更そんなん気にする程度の仲じゃねぇだろ、恥を知れ、馬鹿。何年続いた腐れ縁だ、馬鹿。そんな事を考えながら、支えのない不安定さを回避する為に目の前の首に、腕を回した。

「誰かを殴る腕も、誰かを蹴る脚もねぇから、敵もいない」

不良のクセに鬱陶しい男鹿の前髪が瞼を掠めて、思わず目を開けた。至近距離この上ない男鹿と眼が合った。馬鹿男鹿め、今更ながらキスしてる時に目が合うとか最低過ぎんだろ、馬鹿。何か知らんが男鹿っていつも目瞑んないのな、気付いてねぇわけねぇだろ、馬鹿。デリカシーゼロなの?馬鹿なの?こればっかはイケメンにだって限られねぇからな、馬鹿。そんな事を考えながら、男鹿と淀みなく交わる舌も視線も、より深いモノにする。早々に腕が痺れてきた。

「古市とオレだけだ」

男鹿は切なそうに、そう言った。馬鹿男鹿め、今更言ってやらんけど、指先震えんの堪えてんのが見え見えなんだよ、上手く隠せよ、馬鹿。いつもならキスの最中にオレの身体好き勝手触って、好き勝手に満足するくせに、腕がどうだの、脚がどうだの言うから後悔するんだ、馬鹿。手がどうだの、足がどうだのなんか、もうどうでもいいよ、そんな面倒な事、考え続けられる程、お前賢くないんだから諦めたら?馬鹿なんだし?マジない、有り得ない、馬鹿みたい。あ、真正の馬鹿だった。馬鹿馬鹿言い過ぎてオレまで馬鹿になりそうなんだけど、どうしてくれんだ、馬鹿。そんな事を考えながら、何だか苦しくて、寂しくて、堪らない思いでオレを見詰める眼を睨み付けた。前髪同様、煩わしいに一票。

「古市が傷付かなきゃ、こんなモンいらねぇだろ?」

馬鹿、馬鹿、ばぁか、ばかばか、本当に馬鹿。もう言い飽きたケド、ソレしか当てはまんないから、とりあえず言うなら馬鹿馬鹿、馬鹿。意味わかんない、信じらんない。マジで何なの。もう男鹿止めろよ、馬鹿でいいじゃん、もう。いっそ人間も止めちゃえよ、魔王でいいじゃん、お前なら出来るよ、お前って意外とヤれば出来る子じゃん、もういいよ、頼むからもう何も喋るなよ、な?、ああ、もう、本当に、



お前はもう、オレを抱き締めちゃくれないんだな

そう言えば、お前は困ったように笑って、額にキスを落とした。

なぁ、そんなんじゃ足りないよ、馬鹿


 

2011/02/14(Mon) 05:08 

◆僕の羊と少し、 

魔王(男x古)



古市の髪は銀色だった。

煌々していた。少しだけ撫でるとくすぐったい、と言われた。突き放したりしなかったから、今度は髪の手触りを確かめようと少しだけ引っ張ってみた。古市はいたい、と言った。いたい、というのがよくわからなかったから、手を振り払ったりされなかったから、もう少しだけ強く引っ張ってみた。古市はいたいってば、と少し泣いた。古市のキャラメルみたいな瞳が潤んで、やっぱり煌々していた。だから、もう少しだけ強く引っ張ってみた。
煌々した髪は抜けてしまった。古市は拗ねたように男鹿は馬鹿なの?と言った。俺は馬鹿ではなかった。
古市の煌々の髪だったソレは、俺の手のひらの上でだって、やっぱり煌々だったが、何だか愛おしさよりも空しさでいっぱいで、酷くつまらないモノになった気がした。
顔を上げれば古市が少し睨んでいた。瞳はまだ煌々していた。
俺が触ってたら目も髪と同じになるのか?と問えば、古市は困ったような顔をして、それでも笑って言った。もう少しやさしめで頼む。

やさしい、って何だ、と聞きたかったが、古市が煌々笑うから、少し自分で考えてみようと思った。




 

2011/01/07(Fri) 19:57 

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