黎明

□もしもピアノが弾けたなら
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どんなふうに伝えたって、この思いの全てが伝わることはないだろうし、ましてや、無理に伝えきったら君を壊してしまいそうな気がする。
それなら僕は君にどうやって、どれだけの大好きを伝えよう?



「銀時。…用があるなら早く言え。」

文机に向かう土方の背中をじっとりと纏う、どこか恨みがましい熱視線。深く息を吐くと、土方は熱視線の主に声をかけた。

「ううん。ただね、さっき土方君に静かにしろって注意されたからね、静かに視線だけで大好きって送ってるの。」

煩わしいまでの熱視線の主、恋人の坂田銀時はにこりと無邪気に微笑む。土方はこの笑顔に逆らうことも出来ずに再度ため息を落とす。

「あんまりうるせぇのも困るが、無言で見つめられるのも怖ぇよ。」

「じゃぁ、銀さんどうしたらいい?」

土方が好きで好きで好きで大好きで、土方がいなくなったら世界なんて亡くなっちゃってかまわないって思ってるくらいで、土方の為なら甘味も我慢出来ちゃう俺はどうしたらいいの?どんなふうにこの大好きを伝えたらいいの?どうやったってこの思いの全てが伝わることはないだろうし、ましてや、無理して伝えきったら土方君を壊してしまいそうな気がする。
それなら俺は土方君にどうやって、どれだけの大好きを伝えればいいの?
「銀さん、土方君の言う通りにするから。」

だから、教えて?
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