黎明

□君の名(連載長文予定)
1ページ/4ページ

この銀色でアンタを一生護ってやるよ。



「副長っ、先日の書類が届いてないってとっつぁんから連絡がありましたっ。」

話し口をおさえて報告をしてくる隊士から受話器を奪い、報告をつなぐ。

「その書類なら午前中から隊士が運んでるんだ。山崎っ、もう下がっていいぞ。いつもギリギリで悪いな。もうすぐ届くと思…え?今ついた?あぁ、なら良かったよ。あっ、ソレはそこ置いておいてくれ。今日中に片付ける。あ?違う違う。とっつぁん悪ぃ、こっちの話だ。じゃ、今忙しいから後…わかってるってっ。次は逃げねぇよっ行く行くっ。あぁ、じゃぁ。」

上官への電話での報告とはいえ、相手は松平だ。多少の無礼は許される。松平も話中にやってくる仕事という仕事を片付けながらの電話に慣れていて、最近では不愉快の不の字も言わない。おそらくは慣れたからではなく、多忙な土方に気を遣っているのだろう。

多忙を極める彼の名は土方十四郎。幕府管轄対テロ対策武装警察真選組における副局長である。巷では【鬼の副長】と呼ばれ、テロリスト、一般人に隊内でも部下に恐れられている。そう、恐れられているのだ。しかし、真選組隊士は恐れと共に彼を尊敬している。あれは尊敬というのだろうか?あれは、そう…



愛しちゃってるのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ