ss<nztume,yakusizi>
□:「レイコさん見てますか?俺、今幸せです。」(夏目とニャンコ先生 (夏→多軌風味
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「待てって先生!」
「待てといわれて待つやつがいるか!」
ひたすら獣道を先生を追いかけて走っていた。
どこだここ。イタッ。ああもう木の枝が体中にあたって痛い。
先生は猫だから茂みのなかをすいすいと走っていく。
くそうあの狸猫め。
ことの発端はおやつ。今日のおやつは塔子さんが買ってきてくれた七辻屋のお団子で、先生が好きだから後で一緒に食べよう残しておいた。なのに俺が外に出ている間に全部先生が・・・。
「わっ」
一瞬にして視界が開け、
「すごいな。今まで森のなかにいたのに。」
暗色の世界が一転明色の世界に変わった。
「だろう?」
「先生っ。」
「ここは昔から綺麗な花畑と桜が立ち並んでいたからな。春になると私の秘密の場所さ。」
色とりどりの花が咲き誇る。こんなに綺麗なのに俺と先生の独り占めなんて勿体無い。
「とうっ」
「何してるんだ?!」
いきなり花畑にダイブし、ごろごろと花を押しつぶす。
「こうすると気持ちいいんだぞ〜。にょほほほ。」
「花がかわいそうだろ。でも」
確かに気持ちよさそうだな。甘い香りが風にのって届く。少しくらいならいいかな。さすがに先生のように飛び込む勇気はないが、ゆっくりと横になった。暖かい日差し、柔らかい土の匂い、このまま自然のなかに溶けこんでいけそうな気がする。
「これでチャラだぞ。」
「は?」
いつのまにか俺の頭の横にちょこんと、いや、でんと座っていた。
「団子だ。お前の分までも食べてしまったからな。」
「・・・今度やったらおやつ抜きだぞ先生。」
「なぬ?!」
・・・・
ぷっあははは。高い空に届きはしないけれどふたりして笑った。
『レイコさん見てますか?俺、今幸せです。』
「多軌にも見せたいな。」
「良いんじゃないかー。」
「え?!いいのか先生?ここ秘密の場所だって。」
「別に良いさ。私も多軌を気に入っているんだ。それにここを見たら喜ぶだろうしな。」
「そう、だな。きっと笑ってくれる。」
「ふん。だがお前のことだ。口実がないと誘えないだろう?
「そんなことない。」
見抜かれてる。確かに何の用も無いのに多軌になんて言って誘えばいいのだろう。
「・・・花見すると言って誘えば良いじゃないか。」
「そうするよ。」
「もちろん七辻屋の団子を持ってな。」
「・・それが狙いか。」
「さぁな。だが夏目、見ごろは今週末がぎりぎりだから早く誘えよ。」
――――――――
次の日
「ただいま先生。」
「戻ったか夏目。多軌は誘えたのか?」
「いや。」
「なぜだ?!」
「だって会えなかったし。」
「会えないのなら会いに行けば良いだろう馬鹿もの!!」
「会いにいって友達との話の途中だったら悪いし。」
「どこまで暗いんだ。この根暗!」
「なんだよ狸猫!」
「なぬー!私はどこぞの猫型ロボットか!?」
そうして結局週末ぎりぎりになって多軌を誘ったのはまた別の話。
――――――END
『レイコさん見てますか?俺、今幸せです。』あとがき
ノーパソ復活記念文。(笑
本当は夏タキの花見話を書くはずが、夏目とニャンコ先生の日常になっていた。あれれ???
夏タキ好きさんがこれからも増えることを願ってます!!
はぁニャンコ先生の口調が夏目以上にわからない。
ここまで読んでくださってありがとうございました!!
09,04,17,,