ss<nztume,yakusizi>
□椅子
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私こと、泉田準一郎は何故上司の家にいるのだろうか。しかも休日に。
「泉田クン、『椅子』。」
椅子は涼子の目の前にある。ということは
「・・・・あー、はいはい」
「はいは一回でよろしいっ。」
私に『椅子』になれとおっしゃっているのだ。上司の機嫌を損なわないために、私はソファーに腰をかける。
「どうぞ警視。」
何気なく膝をポンポンとたたいてしまった。
あっ、と思ったときは時既に遅し。そして後悔後にたたず。
「・・・・」
ムスッとした顔で涼子は『椅子』に座った。
「なーんか癪にさわるなぁ。」
・・・あれ?もっとこう、
「子供扱いするなっ。あたしは君の上司よ!」
とかそんなことを言うと思ったんだが・・・。
「子供扱いしたのは腹がたつけど」
あはははと苦笑したのも束の間、ネクタイを涼子に引っ張られた。そして至近距離に涼子の顔。
「まぁ、あたし専用の『椅子』って認めたみたいだからいいわ。許してあげる。」
ウィンクをしてみせる我が上司の機嫌は悪くはないようである。
はて、何故そういう結論になるのかさっぱりわからない。が、しかしそんなことは気にしていても仕方がない。
「・・・・警視、わたしはなぜ呼び出されたのでしょうか。」
テレビのチャンネルをかえた涼子が微笑んだ。私には悪魔のモノにしか見えない表情で・・・!
私の休日よ、さようなら。
by泉田準一郎
――――――――end
子供扱いされて「癪にさわるなぁ」と言う涼子が書きたいがためにかいた。
専用の椅子論(笑)は、親の膝は子供専用の椅子である。って考えからきてます。