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□ばらばらのジグソーパズル
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私は誠二を愛している。愛して愛して愛して、愛(気持ち)は止め処なく溢れる。

そう。愛するだけ。

私の傍にいて。私を一人にしないで。お願いよ。
愛を受け入れて、答えなくてもいいの。返してくれなくてもいいの。ただ、私の存在を認めて。ぎゅうっと抱きしめて。



うそ。嘘。本当は愛して欲しい。愛されたい。誠二に愛されたい。私の誠二。姉ではない、“矢霧波江”として愛して。異性としてあなたが好き。弟の誠二。


愛されたい。でも私は愛される努力をしてきたのかしら。



―――

「飽きたなー、ね?」

飽きた、そういって話しかけるときほどいいことがないものだ。

「上司を無視するなんて酷いよ波江。」

ため息を一つ。

「私に同意を求めないで頂戴。」

みなくてもきっと彼は笑っている。

「暇なんだ。ちょっと遊ぼう。」

ますます嫌な予感がする。

「仕事をしなさいよ。」

「だから飽きたって。」

「俺がコーヒー入れるから少し休憩しよう。」






抱き閉めあう

これは二人が愛されたいのにあいされないから行う行為、

愛してもらう努力をしてこなかったから

私は誠二に、彼は人間に愛された、と錯覚するために。

自分自身に嘘をつく

だからこれは夢、現実ではない。誠二を裏切っているわけじゃない。

暖かい。この男は誠二ではないのはわかってる。でもぬくもりを求めてしまう。抱きしめあって心の穴を埋める。頭にめぐるのは「誠二」のこと。

はじめはそうだったの。なのに彼と暮らして、触れていくにつれて頭の中に流れる想いは誠二だけじゃなくなった。

「臨也」

誠二のかげでちらつく臨也の声、姿。彼に波江と呼ばれることに慣れてきて、嬉しさも感じてきた。

想いを押し殺して背中に回した力を少し強める。

「誠二。」


――――――――――――


抱きあった彼女のぬくもりに何を求めていたのかもう忘れてしまった。

誠二、とつぶやく彼女の声に心を乱されて背中に回した腕に力をこめる。
知ってるかい?君が抱きついているのはただの人形じゃないんだ。ひとりの男なんだ。俺のことなんて考えもしないだろ。考えて。少しでいい。俺を“折原臨也”を感じて、見て、愛してよ。

愛されるための努力をしない俺を。


体が少し離れる、ぬくもりが離れる。

頬に手を添える。

「肌、少し潤いが足りてないんじゃない?」

「は?」

添えた手を少しずらして、親指を彼女の口に入れる。



あぁそんな顔もするんだ。

「いたっ」

がりっ、思い切り指を噛まれてた。

「本当になにがしたいのよ。」


「ははっ。」


「可愛いなぁ。波江は。」



この一年でかわった君との関係。





――――終




あとがき
むしろ私が何をしたかった。
え、臨也が波江の口に指をつっこんで欲しかった。


10,06,03

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