ss<drrr,nuramago >

□男は一人・・・
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ザァァアザァァァ



男は一人夜の街を歩いていた。体のいたるところに傷を作って服はぼろぼろ、それでも軽やかな足取りだった。


「あ、波江。」

遠くに見つけた黒猫をなぜかそう呼んでしまった。

「なみえ」

彼女は猫に似ていた。どんな人間でも似たところはあるけれど、その他大勢の人間と違って彼女はいっこうになつかない。

野良猫はずっと見つめているだけでも逃げてしまうし、触れようとしても逃げてしまう。

気難しいものをこの掌におさめるにはどうしたらいいだろうか、と考えるのが好きだ。愛しい【人間】が手中に収まるまでどんな表情をして、どんな感情をもって行動するのかかんがえるとわくわくしてくる。ただ、手に入れたらもうそこでおしまい。ゲームの終了。それまで俺を楽しませてよ。


「なーみえ」


近寄ってきた猫は



伸ばした男の手を



引っ掻いた。



そして裏路地にかけていった。

「…痛いよ、」

波江。


男は猫が走り去った方向とは逆の道を歩き始める。


「早く帰りたいなぁ。」




ピタっと足が止まる。無意識に眉間に皺が寄る。

「はっ」

俺は何を考えた?

ぽつりと出た言葉に、かわってしまった自分にわらってしまう。



コートのポケットから携帯を取り出し電話をかけた。

『…何?』

いつもの不機嫌な声。それでもにやけてしまうには十分だった。

「波江、怪我しちゃった。手当てしてよ。」



男は女の声に耳をすませながら夜の街へ消えていった。黒猫が影から見続けていたのには気づかずに。





ザァァァザァァァ





――――終



あとがき


黒猫みかけて「波江」といったのは私です。俺の中の臨也にだいぶ毒されてる。

臨波が好きすぎてはじけた。ぱーん。したら意味のわからん文章ができた。

とりあえず臨也が考えているよりも波江さんは臨也をみているんだ!そんな気がする!

2010・06・02
10.06.04 改訂

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