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□私も・・・〈ゴッズ遊アキ
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遊アキ
―――――
不安
シティの裏路地で降った雨に似ていた。暗い空の下傘も持たず歩き、全てが信じられかったあの時に。
――
今は夜ではないけれど、暗闇が
タッタッタッザッタッタッザ
雨の音が周りを覆う。
コン カン
こんな小さな音になんて気づかないかしら。私の作る小さな音には。
「誰だ?」
壁越しにかすかに聞こえた声。でも扉が開くことも無ければ気配も動かない。
私に気づいて。
コン カン
戸を叩く腕は水中からあげるように重い。叩けば力なく沈み込む。こんな音でも気づいてくれる?
「・・・やっぱり誰かいるのか?」
ギィ と開かれる。気づいてくれてありがとう。
――――――
促されるまま椅子に座った。
「びしょぬれだな。とりあえず拭くもの・・・。」
待って。置いていかないで。とっさに彼の服の裾をつかむ。
「タオルを取りにいけない。」
軽くつかんでいるだけだから無理やり放そうと思えばできるのに、あなたはそれをしないのね。
「仕方ないな。」
軽々とはいかないけど抱き上げ、落ちないようにとしっかり支えてくれる。私は落ちるだとか関係なく首に腕を回しぎゅうっと抱きしめた。あなたに触れていたいから。
「子どもみたいだな」
子どもでもいい。そうでもしないと不安なのよ。私がここに、あなたの傍にいていいのか。
タオルを出したのか、このままじゃ拭けないからと降ろされる。
「・・・いやいやじゃないだろ?」
離れたくない。ぬくもりを感じていたいの。
そんな私の腕を今度はゆっくりと外していく。言われてもはずさないけど抵抗はしない。だってそれがあなたの意思なんでしょう。そんなあなたに答えを聞きたくなる。あなたの口から、あなたの言葉で。
ねぇ私はあなたの傍にいてもいいの?
「くしゅん」
「やっぱりシャワーを浴びたほうがよさそうだな。」
ガシガシと雑だけど痛くないように吹いてくれる。傍にいていい?なんて聞けやしない。だって疑っていると知ってあなたが離れていくのは耐えられないもの。信じられなくてごめんなさい。
「なぁ」
でも
「何か悩んでるのか?」
そんなことあなたには気づかれてしまう。彼にいわせれば、なんとなくお前がいつもと違う気がしたから、ただそれだけ。
「・・・言いたくないなら別にいい。だが俺はお前の力になりたい。だからおれにできることがあればいってくれ。」
不安の穴を埋める言葉をくれる。でもね少し足りないの。
「仲間、だからでしょ?」
思わず可愛げのないことを言ってしまった。一瞬を永遠に感じてしまう何かで私を包んで。
目の前のあなたはふっと柔らかく笑い、ああそうかとつぶやく。濡れた服越しにぬくもりを感じた。
「馬鹿だな。」
顔が熱い。
「俺はアキが好きだから言うんだ。」
目に熱さが集まり、あふれ出す。肩に顔を埋める私を優しくなでる優しい手。
この涙が止まったらその手を握って私にも言えるかしら。
「私も遊星が好きよ。」と。
外の雨は弱まることなく降り続ける。あの日の影を纏いながら。
でも今日はもう大丈夫。だってあなたが傍にいる。あなたの声とぬくもりが傍にあるから惑わされない。
私はあなたの傍にいてもいいのよね?
――――――――――end
『あとがき』
ぴぃちゃんからいただいたネタから妄想。キーポイントは「言葉よりも行動」だった。・・・あれ?ずれてね?・・・・まぁどんまいだ!!遊アキで甘い話が書けるようになりたいなぁ。