Novel

□甘い炎
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「ふぁ〜。」

ナルトは大きなあくびと共に、だいぶくたびれた布団にもぐりこんだ。

手製のこちらもずいぶんつぎはぎだらけのカカシ人形を引き寄せて、目を閉じる。

「カカシセンセー、おやすみなさい。」










こんこん




小さな寝息が聞こえ始めてから随分経った頃、非常識なノックの音が月明かりに満ちた部屋に響く。

それも窓から。

こんなことをする人間は木の葉の里広しと言えど、あの人物以外考えられない。



こんこん



なおもノックの音が続く。

「……カカシセンセ……?」

こしこしと目をこすりながらナルトが起き上がる。

今日、カカシは他の上忍達と飲み会があると言っていたはずだ。

そういう時は帰りが真夜中を過ぎてしまうため、ナルトに会いにくるようなことはなかった。

不思議に思いながらも窓の外を見ると、やはりカカシが気だるげな様子で座り込んでいた。

俯いているために表情は伺えない。

ナルトは急いで鍵を開けると、窓を押し開けた。

「ナルト……。」

カカシが相変わらず足音もさせずに部屋に滑り込んできた。

そして囁くようにナルトを呼ぶと、何の前触れもなくその小さな体を思い切り抱き締めた。

「カ、カカシセンセー?」

とまどうナルトを無視して、カカシはその金色の柔らかな髪に顔を埋める。

「……ナルト……。」

再び吐息のように名を呼ぶ。

「うぅぅ〜、カカシセンセーお酒くさいってばよ。」

ナルトは顔をしかめて、大きな肩を両手で押してみたが、ビクともしなかった。

むしろ頭の後ろに手を回されて、より一層抱き込められてしまう。

「……俺だけ見てよ。」

カカシは近くにある可愛らしい耳に、息を吹き込むようにして言う。

意味不明なその言葉だったが、伝える声が余りに真剣だったので、ナルトは思わずカカシの顔を窺おうと固定されたままの頭を動かそうとしたが、やはりそれは徒労に終った。

「お願い……。」

まだ抜け出したばかりでナルトのぬくもりが残るベッドに、カカシは腕に抱えた愛しい人ごと倒れ込んだ。

「センセー、どうしたってば?」

「ナルトがサスケばっかり見てるから……。」

「どういうこと?」

カカシは相変わらず訳のわからないことを言っていたが、ナルトの問いには答えず、ほんの少しだけ腕を緩めると、ナルトのふっくりとした頬に唇を落とした。さらにそれを滑らせて、耳に歯を立てる。

「……あ……っ。」

不意打ちにナルトは声を上げてしまう。

それに気を良くしたカカシは、本格的にナルトを貪り始めた。
 
 
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