Novel
□願事
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「……カカシセンセー……」
真っ赤になって、ナルトはカカシの首に腕を回し、抱き付いた。
「……どうした?」
合わさった小さな胸が、いつになく早い鼓動を刻んでいるのに気付いてカカシは少し気遣わしげな声で尋ねる。
ナルトが抱き付いてくることはしょっちゅうだったが、今日は様子が違うようだ。
こんな伏目がちに目元を紅く染めて、密着されてはイケナイことを考えてしまいそうだと、カカシは自嘲的に唇を歪めた。
「センセェ……」
いつもより甘い声。
居心地悪そうにごそごそ動いていたかと思うと、温かくて柔らかいものが頬に押し当てられるのを感じた。
驚いてその蒼い瞳を覗き込む。
ナルトは視線を合わせようとせず、再びカカシの肩口へ顔を埋める。
桜貝のような耳が淡い紅色に染まっているのを見て、大人はあっさりとその理性の箍を外してしまった。
「……俺、都合のいいように取っちゃうよ?」
確認という宣言をして、カカシはナルトをベッドに運ぶべく抱き上げた。
小さく金色の頭が頷くのを視界の端に捕らえながら。