Novel
□引力強化
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「赤丸〜。」
……何だよ、せっかく久しぶりに会ったってのに、赤丸にばっかり懐きやがって。
ここはナルトの家。
一週間の里外任務が終わって帰ってきたら、ナルトが修行から帰ってきたって知って、速攻で駆け付けたんだ。
で、感動の再会もそこそこに。
さっきからナルトの野郎は、赤丸の首に抱き着いて離れようとしない。
俺の方なんか見向きもしない。
ていうか、俺が触ろうとすると避けてないか?
俺の機嫌は急降下だ。
「赤丸、でっかくなったってばよ!」
確かに、ナルトが最後に赤丸を見た時に比べれば、何倍も大きくなってるからな。
でも俺だって、でかくなったんだぞ。
お前との体格差、広がっただろ。
だから、抱き着くのは俺だっていいじゃねぇか。
……はぁ、自分の忍犬にやきもち焼いてどうするよ、俺。
ちくしょう、くやしいがここは物で釣るか。
「ナルト、腹減らねぇ?今日は俺がメシ作ってやるよ。」
「え?!ホント?!」
……変わってねぇな、あっさり食いついてきやがった。
でも何だ、その驚いた顔は。確かに前は俺が自主的に作るなんてことなかったからな。今は料理も人並み程度には出来るっつうの。
「おう。って言っても大したもんは作れないけどな。一応リクエストは聞いてやる。」
一応聞くだけ。まだレパートリーは多くない。ただ、何となく覚えた料理はナルトが好きそうなもんが妙に多いってこの前気付いたんだ。なんかこっ恥ずかしくて、一人で赤くなったりして、馬鹿か俺は、とか思った。
「じゃあさじゃあさ、オレ犬ごはんがいいってば!」
その時のこと思い出して、また熱くなっていく顔のことなんか、吹っ飛んじまうようなことをコイツは言い出した。
「は?」
「だめ?」
可愛く首を傾げるな。
「……犬ごはんってアレだよな?」
確認は大事だ。
「そう!いつも赤丸に作ってやってるやつ!」
元気に言われてもよぉ……。
「……一応言っておくけど、アレは犬のエサだぞ。」
なんか違うもんと勘違いしてるかもしれないし。
「わかってるってば。でも、人間が食えないもん入ってないだろ?」
「まあ、そりゃそうだけどよ。」
そういう問題でもねぇだろ。
「じゃ、犬ごはん!」
この期待に満ちた目で言われたら、俺の反論しようと開きかけた口は了承の返事を勝手に出していた。一応、忠告も含ませながら。
「わかったよ。……後で泣くなよ。」