忍(長編)
□君と一緒に⇒一直線!!
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「なぁ、鹿丸。その、そろそろ…」
「もう少し」
「…でも」
「あと1分だけ」
ただ今鹿丸に抱きしめられ中…
鳴門がアメリカに来て10日目。
当初の目的は初日に達成できていたから、鹿丸と付き合い始めて10日ということだ。
鹿丸と鳴門は清らか(?)な、お付き合いをしていた。
そして鳴門は、4日後には日本に戻らなければならない。
このままでは、鹿丸は生き地獄を味わうことになるだろう。
ここで冒頭に戻る。
鳴門は今、拠点にしているホテルの一室で、立ったまま鹿丸から抱きしめられていた。
後ろから。
鳴門は抱きしめられるのが嫌いではない。
もちろん鹿丸以外は全力で、丁重に、お断りだが。
今も本当は嬉しいくらいなのだが、どうしても慣れないのだ。
「ごめんっ!もう無理!!」
スッと下に屈んで鹿丸の腕から抜け出した鳴門は、鹿丸から2mほど離れた。
眉をハの字にして申し訳なさそうに鹿丸を見た。
付き合いだして今の今までキス以上はしていない2人。
何故かというと、いつもこうやって鳴門が逃げるから。
鹿丸としても想いが通じ合っている以上、無理強いはしたくない。
そして結局、鹿丸は生き地獄を今現在進行中で味わっていた。
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