story

□Sweet*Sweet
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「10時20分!? うそやだ寝過ごしたぁあ!!」

枕元に置いていた携帯の時間表示を見るなり叫んで、花野は飛び起きた。
今日は昼に駅前で友人達と待ち合わせなのだ。約束の時間まであと一時間を切っている。

ドタバタと洗面所に向かい顔を洗って寝癖を整え、姉が常備しているグレープフルーツジュースをコップ一杯拝借する。

何を着ていこうか考える余裕もなく、コーディネートいらずのキャミソールドレスをクローゼットから取り出した。

パジャマのボタンを外す手間も惜しんで頭から脱ぐ。

と。

「ぅわッ?!」

ひっくり返った叫び声が窓の方から響き、花野は驚いてそちらに顔を向けた。
窓越しに、顔を真っ赤にした玲と目が会う。

「……っごめんっ!!」

回れ右して慌ててどこかへいく玲。
ぽかんとしてそれを見ていた花野は首を傾げる。

(あれ……向かいの部屋は伊織兄の部屋じゃなかったっけ……どうして玲くんが……ごめんて…?)

ハッ。


――花野は、寝るときにはブラを着けない派だ。

姉には、デカイんだから夜ブラしないと垂れるわよ、と常日頃から言われているが(そういう姉もFカップだ)、窮屈でどうしてもイヤなのだ。

パジャマをガバリと脱ぐと、ようするに、つまり――裸なワケで。


「!!!―――、!? ッ!!!」

声にならない悲鳴を上げて、花野は身体を隠すようにしゃがみこんだ。


――今さら遅いのです。



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