story

□Sweet*Sweet
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「わたし、玲くんが好き。

玲くんは、
花野のこと、どう思ってる?」


ふたりで帰る、いつもの道。

家まであと少し、という距離になったとき。
わたしは後がない気持ちで、彼に告白した。

玲くんは、しばらくポカンとしたあと、

わたしの言う意味に気がついて、

すごく困った顔になった。

(あ……ダメだ…)

玲くんの表情を見て、わたしは賭けに負けたことを、理解した。

ぎゅっとうつ向くわたしに、
玲くんの答えが降ってくる。

「……わかんねぇ。花野は好きだけど、でも…」

女のコとしての好きじゃないんだね……。

「うん、わかった……。ばいばい玲くん――」

「え? 花野、」

何か言おうとしている玲くんを置いて、
わたしは走った。

眼が熱い。

胸が痛い。

溢れ落ちそうな涙を我慢するために

息を止めて

家に駆け

そのまま、
自分の部屋に逃げ込んだ。


「…ふぇっ……、っう…――、」

だって約束なんだ。

玲くんがわたしを、
同じ気持ちで好きじゃないのなら、

わたしは、

玲くんの側から
離れなくちゃいけない。

それがみんなとした約束だから。




わたしと玲くんは幼なじみ。

ただの、
幼なじみ―――……




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