□ 小話

□□ 酔い泉
1ページ/4ページ

泉から着信があった。
が、電話の向こうから泉の返答はなく、周りの雑音しか聞こえない。

「もしもーし?」

何回か呼び掛けたが、やっぱり泉の返事はない。
電話の向こう側で人の声が聞こえる。

『泉〜、大丈夫かよ〜?』

(ん?泉、どうかしたのか?なに?)

音量を最大まで上げ、これでもかという位、携帯に耳をつける。

『んー。』

やっと電話の向こうから泉の声がしたが、どうも普通じゃない。

(泉!なんか寝ぼけてる?)

『風邪ひくぞー。ベットで寝てろよ』



「はああああぁ?!」






酔い泉








思わず叫んでしまった事にも本人は気付いてない。

(何!?ベットォ〜?
つか、寝てんのか?俺以外の奴に無防備に寝顔を見せてんのか?)

『んー・・・・』

(んー、、じゃねぇよ!そんなかわいい返事してんな!
只でさえ、寝顔を俺以外に見せてるつーのに、他の奴の寝汗がついたりオナったりした汚ねーベットで無防備な泉を寝せねぇ!
外泊なんてぜってーさせねえ!)

ブチッと携帯を切り、鬼神の形相で直ぐにかけなおした。

(出ねぇ・・・・自分からかけてきたくせに)

イライライラ。
プチッ。
トルルル・・・。
プチッ。
トルルルルル・・・・。


何回目かの発信でやっと電話が繋がった。
しかし、その電話からは泉以外の声が聞こえた。

『浜田先輩?』

俺の事を知ってる。野球部の奴か。

「そこどこ?」

問いには答えず、すこぶる機嫌が悪い声で聞くと素直な後輩は、中学の野球部数人で飲んでいる事と何故か泉がやたらとチューハイを飲んで出来上がった事、家までの道のりを詳しく説明をしてくれた。
浜田は鍵をかけるのも忘れ、家を出た。









次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ