□ 小話
□□ 酔い泉
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泉から着信があった。
が、電話の向こうから泉の返答はなく、周りの雑音しか聞こえない。
「もしもーし?」
何回か呼び掛けたが、やっぱり泉の返事はない。
電話の向こう側で人の声が聞こえる。
『泉〜、大丈夫かよ〜?』
(ん?泉、どうかしたのか?なに?)
音量を最大まで上げ、これでもかという位、携帯に耳をつける。
『んー。』
やっと電話の向こうから泉の声がしたが、どうも普通じゃない。
(泉!なんか寝ぼけてる?)
『風邪ひくぞー。ベットで寝てろよ』
「はああああぁ?!」
酔い泉
思わず叫んでしまった事にも本人は気付いてない。
(何!?ベットォ〜?
つか、寝てんのか?俺以外の奴に無防備に寝顔を見せてんのか?)
『んー・・・・』
(んー、、じゃねぇよ!そんなかわいい返事してんな!
只でさえ、寝顔を俺以外に見せてるつーのに、他の奴の寝汗がついたりオナったりした汚ねーベットで無防備な泉を寝せねぇ!
外泊なんてぜってーさせねえ!)
ブチッと携帯を切り、鬼神の形相で直ぐにかけなおした。
(出ねぇ・・・・自分からかけてきたくせに)
イライライラ。
プチッ。
トルルル・・・。
プチッ。
トルルルルル・・・・。
何回目かの発信でやっと電話が繋がった。
しかし、その電話からは泉以外の声が聞こえた。
『浜田先輩?』
俺の事を知ってる。野球部の奴か。
「そこどこ?」
問いには答えず、すこぶる機嫌が悪い声で聞くと素直な後輩は、中学の野球部数人で飲んでいる事と何故か泉がやたらとチューハイを飲んで出来上がった事、家までの道のりを詳しく説明をしてくれた。
浜田は鍵をかけるのも忘れ、家を出た。
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