短編小説
□沖田×神楽
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ザァァァァァ
「なんでこんなときに雨なんて降るアル……」
「あ、土方コノヤロー。あれ万事屋のチャイナじゃねぇですかィ？」
「あ゛ぁ゛？万事屋のチャイナがどうしたんだよ総悟コノヤロー」
「あの濡れてんの。チャイナですよねぇ？」
「そうみてぇだが、雨宿りしてるだけだろ？
……それがどうした？」
「ここからは土方さん１人で見廻りしてくだせェ。
俺はガキの保護してきまさァ。」
「あ、オイ、総悟!?
………行っちまいやがった。ま、今回は真っ当な理由付きだからな。見逃してやるか……」
「チャイナ!!」
「あ、サド……なんの用アル「遊びに来やした。」
「………「遊びに来やした」
「遊びに｢３回も言わなくても聴こえてるネ!!」
「そーでしたかィ？風邪でもひいて耳が聴こえなくなったかと思いましたぜ」
「風邪のそんな症状初めて聞いたアル」
「本当に風邪はひいてやせんね？」
「当たり前アル。お前ら地球人みたいに弱くないネ、甘く見るなヨ」
「そうかィ、そりゃあ良かった」
心底安心したように見せたその笑顔が神楽の頬を紅く染めたのは言うまでもない。
「あ、顔赤いですぜ？
やっぱり熱でもあるんじゃないですかィ？」
「な、違うアル!!これは……」
「……？
これは……なんですかィ？」
「な、なんでもないアル!!
気にするんじゃないネ!!」
「そうですかィ？
それよりも……」
「なにアルか」
はらり、
「そろそろ冷えてきたからねィ。それ羽織ってなせェ」
そう言って沖田が被(かぶ)せてきたのは隊服の上着。心の中で(ついでに服がうっすら透けてますぜー……)と思っていたのは紛れもない事実だけれども。
そうとは知らない神楽は、微(かす)かに残った沖田の体温と香りに包まれて、その安心感に身を委(ゆだ)ねた
「ぃな……チャイナ!!」
「ん………なにアルかいきなり大声で……」
「万事屋着きましたぜ」
「ん……？
っ、サド!!なにしてるネ!?」
「一回くらい名前で呼びなせぇ
総悟ですぜ、そ･う･ご。」
「………なにしてるネ……総悟……」
「雨がやんでもアンタが起きねぇからおぶってやってんですぜ、神楽」
「………っ…!!」
「けどアンタ、力はある癖に全然重くないからねィ。
案外楽でしたぜ？」
「…………ありがとう…」
「ん？なんか言いやしたか？」
「……ありがとうって言ったアル!!……もう言わないからなっ…」
「今日のお礼はそれだけで十分でさァ」
「そ、そうか……ならいいアル……」
「で、着きやしたけど」
「わ、分かってるアル……」
ひょい、っと沖田の背から降りる神楽。沖田から離れると同時に抱きしめていた温もりからも離れる結果になって少し寂しい気がした。
「なに浮かない顔してるんでさァ
そんなに俺と離れるのが辛いですかィ？」
「そんなこと……ないでもないアル……」
「？
よく聴こえやせんぜ？」
「なんでもないアル!!
ま、またなっ!!」
慌てて万事屋への階段を駆け上がった神楽は、その音を聴きながら呟いた沖田の言葉を聞き取ることはできていない。
「ふふふっ、よぉく聴こえてましたぜ？
また遊んであげやすよ、神楽。」
こうしてとある１日は幕を閉じましたとさ。
おしまい