ハレルヤ
□第1話
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俺の名前は沢田綱吉、通称ツナ――と言っても、今じゃあこの名を呼ぶ人はあまりどころか全然いない。
みんな俺の肩書きか名前で呼ぶからね。
童顔でよく十代に間違えられるけど、これでも一応立派な二十代だ。
なぜ正確な年齢じゃないかというと、俺自身も自分が何歳なのかはっきりとは知らないから。
俺は気がついたら親がおらず、多分戦争孤児ってやつなんだと思う。
だけど俺が自分の正確な年齢を知らないのはそれが理由じゃなくて…俺が、ある時から前のことを覚えてない…否。
“知らない”からだ。
俺は一度死んでいる。
名前と姿を変え、死んだつもりで――なんてそれではなく、本当に“一度死んでいる”のだ。
いや、正しく言えば、“死を経験している”というべきか。
だってこの今の体は、生まれてこの方一度だって死んではいないのだから。
前世なのかどうかは分かんないけれど、俺は昔、こことは似ているようで違う世界で生きていたことがある。
俺はそこで今と同じ沢田綱吉としと生きていて―といっても、むしろ今の名前はその時の名前を名乗ってるんだけど。でも驚くことに、名前だけでなく姿形まで同じだった―そこで俺は、中学のある時期まで“ダメツナ”と呼ばれ続けていた。
その頃の俺は本当にダメダメで、いつもクラスのお荷物扱い。
友達だって1人もいなかった。
だけどそんなある日、俺のもとに1人の家庭教師―それが驚くことに赤ん坊!―がやってきてから、俺の生活は一変する。
そいつはとにかくめちゃくちゃな奴で、その上物凄く偉そうで。
見た目は赤ん坊らしく可愛らしいそれなのに、中身はまるで俺様って言葉が服を着ているような理不尽な奴。
…だけどそんないろんな意味で桁外れな家庭教師様のおかげで、俺は大切な友達が、仲間ができた。
まあそれと同時に、なりたくもないイタリアンマフィアなんてものにも巻き込まれていったんだけど……何はともあれ、そうして俺は否が応でも成長していき、あれよあれよという間にあんなにも嫌がっていたマフィアのボスという椅子におさまっていた。
そうして俺は、その後巻き込んでしまったみんなと共にマフィアのボスなんてものを続け―そしてあの日、俺はとっさに部下を庇ってあっけなく死んじゃったってわけ。
本来ボスが部下に庇われるべきで、部下1人のために頭が死ぬなんてバカじゃねえのかこのダメツナが、なんて、あの怖い家庭教師様の声が聞こえてきそうだ。
だけど俺としては、それ自体に特に不満はない。
リボーンには怒られるかもしれないけれど、体が動いちゃったんだからしょうがないし…何より俺は、例えなんどやり直したとしても、同じ行動をとるだろうから。
まあだから不満はないんだけど…だけどもっと生きたかったと思ったのも確かで。
その気持ちが強すぎたのか、気づけは俺は、子供の姿形で着物姿の男たちの屍の上に横たわっていた。
――そうしてそこで、義父である先生にであった。
その後は先生の家に行き、そこで先生に教わっていた子供たちとも仲良くなって。
そしてやがて年月がたち、色々あって今は――今はというと。
「総悟ォオオオオ!!」
「騙される土方さんが悪いんでさァ」
「あ、あはは……」
ボンゴレファミリーに負けず劣らず、騒がしくもキャラの濃い人々と、今日も騒がしい日々を過ごしています。
とりあえずは、
(自己紹介から)(始めようか)