素数的進化論。

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第15話
-Non stop story-










「……は?」



並盛高校のとある教室で、その言葉を聞いた瞬間、ぽかんとして固まる少年――獄寺隼人。

その隣では、クラスメイトであり仲間―いや、家族でもある少年、山本武が、こちらも笑顔のまま固まっている。



「ちょ…突然何を仰るんですかリボーンさん!」



「ははっ…小僧面白いこと言うのな〜」



そしてその一瞬後には、二人を固まらせるに十分な台詞を吐いた人物――今は居ぬ、ボンゴレ十代目ボスの机に立つ赤ん坊に向けて、それぞれ反応を返す。



「冗談なんかじゃねーぞ。雲雀からの情報だからな」



しかしそれに対し、赤ん坊――最強のヒットマンであり、ボンゴレ十代目の家庭教師様でもある彼、リボーンは、顔色一つ変えずにそう返す。



「いくら何でもそりゃねーって」



「そうですよリボーンさん!お優しい十代目が、イジメだなんて…!」



そう言って、自分達のボスを疑うことすらせずに反論してくる彼らに、うっすらとその口元を綻ばせるリボーン。

しかしそれを隠すかのように軽くうつむき、帽子を目深に被り直しながら口を開く。



「俺だってアイツがそんなことしねーことくらい分かってる。ただ…‘そう思われてる’ってことが重要なんだゾ」



「そう、思われてる…?」



「どういうことだ?」



自分達の言葉を肯定してくれたことに安堵しつつ、続けられたリボーンの意味深な言葉に首を傾げる二人。

そんな二人に、リボーンはもう少し説明を加えてやる。



「いくらダメツナとはいえ、仮にもボンゴレ十代目だからな。にも関わらず、アイツが護衛任務中に、わざわざ誰かに目をつけられるようなヘマをするわけがねえ。つまり…」



そこで言葉を切って二人を見れば、気付いたのかハッとした表情になる獄寺。



「十代目をはめた奴が、今回の依頼に関係している、と…?」



「…?どういうことだ?」



やはりマフィアの中で生きてきたからか、それとも頭の出来ゆえか。

そう呟いた獄寺に、リボーンは肯定する代わりにニヤリと笑って見せる。

しかし一方、その隣にいる山本は首を傾げたままで。

頭で考えるより本能で動く彼は、その上その性格上悪意に疎いせいかよく分かっていないらしい。

それに獄寺が怒鳴りながら説明する。



「十代目がターゲットにされるってことは、つまりそいつにとって十代目が邪魔だったってことだろうがこの野球バカ!」



しかし未だ分かっていない山本は、獄寺相手に臆することなく質問を続ける。



「…つまり?」



「ツナの存在が邪魔――つまりは、‘ツナに跡部景悟の護衛をされたくない’ってことだゾ」



そう言うと、リボーンは窓の外の大空を見上げた。










「……?」



所変わって、氷帝学園高等部。

後輩達と別れた宍戸亮は、自身の教室に戻ってすぐ、違和感を覚えた。

それに眉を潜めて教室に入ると、その違和感が強くなる。


――一言で言えば、空気が悪い。

彼が昼休み前に教室を出た時よりも、そこは嫌な雰囲気が漂っていた。


――と。

ふとその目を黒板に移したその時、ハッと見開かれる瞳。



「な……!?」



そこに書かれた文字に、宍戸は先ほどの後輩の態度の意味を悟った。














「おーい」



体育館倉庫裏。

上原和哉が、先程まで使っていた携帯電話を仕舞い、さてどこでサボろうかと思案し始めた所で聞こえてきた声。



「…?」



「こっちこっち」



その聞き覚えのある声にキョロキョロと辺りを見回せば、体育館倉庫の小さな窓からヒラヒラと手を振る綱吉を見つける。



「……何でそんな所に」



驚き半分、呆れ半分といった様子で呟き、そちらへと近づいていく上原。

それに綱吉はヘラリと気の抜けた笑みを浮かべ、なんとも軽く状況を説明した。



「いやあ、なんか閉じ込められちゃって」



「は?」



その余りにも答え方とのギャップが激しい言葉に、思わず顔をひきつらせる上原。

なんでも話を聞けば、呼び出しに応じてノコノコとやって来て、その上で閉じ込められたらしい。



「……………」



思わずバカかコイツはと思いつつ、沈黙する上原。

先程まで電話していた彼が相手なら、迷わずそれを口にしていただろう。





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