企画

□午後のお茶会
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「お茶会?」



ある日の沢田家。

その家の一人息子である沢田綱吉は、母親特性のシフォンケーキにかぶり付こうとした姿勢のまま、その言葉に首を傾げた。



「ティーパーティーだゾ」



「うんまあ正直どうでも良いけどさ。
…何?突然」



おうむ返しに繰り返した綱吉に訂正を入れるのは、その前に座りエスプレッソを飲む赤ん坊――もとい綱吉の家庭教師であるリボーン。

「大体お前だってさっき“お茶会”って言っただろ、」なんて心の中ではぶつくさ言いつつ、しかしそんなことを口に出そうモノならどうなることやら。

今までの経験からそう尋ねるにとどめるも、



「聞こえてるぞダメツナ」



しかし家庭教師様には関係なかったらしい。

カチャリという音と同時に、綱吉の目の前には真っ黒な銃口が突きつけられた。



「……で?」



ぱくりと未だ持ち上げたままだったシフォンケーキにかぶり付き、その銃口をそっと手で払う綱吉。

「ああ、こんなことにも慣れたなあ」なんて思いつつ、もぐもぐとケーキを咀嚼する。



「マフィアのボスたるもの、客人をもてなすくらい朝飯前にこなすもんだぞ」



そう言って銃を仕舞うリボーンだが、この家庭教師様がそんな理由で動く訳もなく。



「…根拠は?」



紅茶を飲みつつジト目で伺えば、



「ママンのお菓子も良いがたまにはリョーマと裕太のだって食べたいんだもん!」



きょるんっ♪と、その見た目を最大限に生かして教えてくださったのだった。














「……てことで、こうなった訳」



「うんそっか、わざわざ紙芝居まで使った説明をありがとう」




トントン、と、その手に持った手製の紙芝居を整える綱吉ににこやかに返すは、紅茶片手にその前に座る不二周助。

ちなみに上手すぎる色とりどりのイラストの描かれた紙芝居は、綱吉の手作りである。



「にしても知らなかったな。ボウヤがこんなにも料理が上手いなんて」



そう言って目の前の皿から取ったクッキーを口に運ぶのは、不二と似たような雰囲気を持つ少年――幸村精市。

ぱくりとクッキーを口に放り込めば、その適度な甘さに頬を緩める。



「気紛れなのが玉に瑕だがな」



一方、そう言ってため息をつくのは、幸村の前に立った手塚国光。

センスの良いテーブルを囲み他の三人が椅子に座る中、先ほど幸村が手を伸ばした皿を持ってきた彼だけは立っている。



「失礼なこと言わないでくださいッスよ。俺だってやる時はやるし」



そんな言葉と共に現れたのは、先ほどから話題に上っていた越前リョーマ。

いつもの帽子は被っておらず、黒のエプロン姿で片手にはタルトを持っている。



「そう言って2日食事忘れたのは誰だよ」



「そんなんだから身長伸びねえんだぞ」



そしてリョーマの後ろから現れたのは、それぞれ両手に色とりどりのお菓子を持った宍戸亮と不二裕太。

二人ともリョーマと同じく黒いシンプルなエプロン姿である。





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