姫はマのつく王子様!

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有利も俺も着替え終わり―ちなみになぜか有利が言う前からこのコンラッドとかいう人には俺の性別が分かっていたらしい。…なんか嫌なんだけど―いよいよ有利の口から説明が始まる。

とうでも良いけどさ、有利の隣からの警戒心まるわかりの視線、かなり鬱陶しい。



「えーと…何から説明したらいいんだろ?」



「陛下、まずはこの国のことと…そして俺達のことを紹介しては?」



「あ、そっか。だよな!…って、だから陛下って言うなよ名付け親!」



「そうでした、すみませんユーリ」



そう言って、笑って頭を下げるコンラッド。

…っていうか、



「俺、アンタたちの名前なら知ってるけど」



「え!?」



「何!?」



俺の言葉に驚きの声をあげたのは、有利とその隣でこちらを睨んでいたあいつ。

残りの二人も声は出さなかったものの、驚きの表情を浮かべていて。

……これって、そんなに驚くこと?



「そっちの人がギュンターで、その隣がコンラッド。有利の隣にいるのがヴォルフラム」



信じられないみたいだったから、一人一人指をさして名前を呼んでやる。

さっきまでの会話を聞いていたら、誰にだって分かるよね。

…ま、コンラッドは正確にはコンラートっていうらしいけど。



「す…素晴らしい!!」



にもかかわらず、そう言ってがしぃ!と俺の両手を握ってくるギュンター。

…この人なんで泣いてんの?



「リョーマ様はこちらの言葉がお分かりになるのですね!」



「…はあ?」



その言葉に今度はこっちが驚く番。

何言ってんのこの人。



「俺が喋ってんの日本語だけど」



英語なんて話してないし、第一アンタらも日本語じゃん。



「いいえ、リョーマ様はこちらの言葉を話していますよ」



そう言って微笑むコンラッドを、キョトンとして見つめる俺。

その視線に彼は表情を苦笑に変え、「本当ですよ」と繰り返す。

その隣では、有利がコクコクと頷いていた。


…本当に?



「でも、どうしてリョーマは何にもしてないのに?俺の時は、最初は何言ってるか分かんなかったのに」



「おそらく、こちらへ来る時のショックが原因でしょう」



不思議そうに尋ねた有利に、少し考えたあと答えるコンラッド。


俺には自覚がないけど、本当に日本語とは違う言葉を話してるらしい。



「なんにしても、こちらの言葉が話せるということはリョーマ様の御魂はもとはこの世界のものという証拠!」



そう言って、一人大量の涙を流すギュンター。

…この人、いくら泣いたら気がすむわけ?



「フン!そのくらいできて当然だ!おいお前!本当にユーリの女ではないんだろうな!?」



「ちょ…まだそんなこと言ってんのかよヴォルフラム!」



失礼なセリフになぜか俺より先に有利が答え、そしてギャーギャーとさわぎだす二人。

……とりあえず、



「誰かちゃんとした説明してくんない?」



意味分かんないんだけど。












「………つまり、ここは地球とは別の世界で、魔族とかいうのと人間が争っていて?黒髪黒目は珍しくて、そして――そして有利は、魔族の王様…魔王、だと?」



とりあえず一通りの説明が終わった後。

俺は今聞いたばかりの、とても信じられない夢物語のような話をまとめ、確認するように目の前に座る有利に目を向けた。



「うん、まあ…」



そう言って、困ったように、照れたように頬をかくイトコ。

普通なら信じられない、信じられない話なんだけど…有利に嘘をついている様子はないし、第一このイトコは嘘なんかつけない。

それに俺も、ボンゴレファミリー雪の守護者なんていう普通じゃ信じられないような肩書きを持っているし、その関係でいろいろと常識外れなことに巻き込まれてきた。

だから、



「大丈夫。信じるよ」



「……!」



俺の言葉に、パッと表情の明るくなる有利。

ホント、分かりやすいよね。



「そうだ、ユーリはこの眞魔国の二十七代目魔王なんだぞ!お前のような女が…」



とそこで、ハッとして有利の頬をつまみ、思い切り横に引っ張るヴォルフラム。

さっきからやけに俺に突っかかってくると思ったら、どうやら彼は有利の婚約者らしい。

…ま、有利は否定してたけど。

否定したくもなるよね、容姿はともかく、同じ男でその上八十歳を越した婚約者だなんて。



「ひててててっ、がっきゅううんこ」



思わず、といった様子で言う有利。

…何してんの。





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