姫はマのつく王子様!

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質問。



「……………………何で俺まで?」



アンサー。

男同士でシーワールド―――――が、余りにもあんまりだから。



夏休み真っ最中、越前リョーマは従兄弟であり夏休みの間居候中の渋谷家次男、渋谷有利に連れられ、シーワールドへとやって来ていた。

なんでも彼の友人が―ちなみにその友人こと村田健とは有利を通してリョーマもそこそこ仲が良い―フラれたも同然とかなんとかで、その傷心を癒すため、ここ、シーワールドへと誘われたらしく。

しかしやはり家族や恋人達でごった返すそこに、男二人ではあんまりだろうと、ちょうど起きたばかりのリョーマまで引っ張ってこられたというわけである。

しかしこのリョーマ、格好がその性別に反してかなりボーイッシュ。

一見しただけでは男に見える彼女は、有利とはお互い兄弟のように―兄妹でも姉弟でもなく、兄弟のように―接してきた。

その上強い人と戦いたいからと中学1年の頃にはなんと男のふりして男子テニス部に入ったような人物である。

正直言って、有利は今更ながら人選ミスだったかと考えていた。



「はーい、二十七番のお客様ーぁ!どうぞステージ上にいらしてくださーい」



「だってさ、有利。呼ばれてるよ」



シーワールドの、海のお友達ショーコーナー。

隣で泣き声をあげる幼稚園児からさりげなく少し距離を取りつつ、リョーマはボーッとしてる従兄弟に声をかけた。

自分の紙の番号からいえば、多分有利の持つそれが“二十七番”だろう。

しかしその言葉に反応したのは有利ではなく、リョーマとは逆隣に座っていた村田だった。



「すごいぞ渋谷ッ、こんな満員の中で当選するなんて!」



「……なにが?」



話を聞いていなかったのか、キョトンとして首を傾げる有利。

その間にも、ステージ上ではお姉さんが客席へと話しかける。



「ナンバーカード二十七番のお客様ーぁ、いらっしゃいましたらどうぞステージにー」



「早く行かないと居ないと思われちゃうよ、隣の子なんか外れて悔しがって泣いてるし」



そう言うと、村田は有利となぜかリョーマの腕を引っ張って、我がことのように嬉々として階段を下りる。

―その勢いにこけそうになる二人など綺麗に無視である。



「おめでとうございまーす。はい、こちらが景品のイルカちゃんキャップとイルカちゃんストラップ、それにドルフィンキーホルダーでーす」



…何故に最後だけドルフィン?



「じゃ、ストラップとキーホルダーはなくさないようにズボンのベルトに着けておきましょうかぁ?」



「うわ」



その名の通り全てがイルカの可愛らしい品々を、お姉さんはにこやかな笑顔と共に手際よく取り付ける。



「それでは、ご来場のお客様を代表して、当シーワールドのアイドル、イルカくんと握手をしていただきましょーぅ!」



そして発せられたその言葉に、有利の顔色が目に見えて悪くなった。





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