Antique Hermitage
深い霧が立ち込める。
随分と森の奥深くに進み過ぎたのか、出口も入口も、自分のいる場所さえ解らない。
途方に暮れて立ち止まれば、目の前には古びた大きな洋館――。
重い門が、ゆっくりと開く。
その先には、ゆらゆらと揺れる小さな人影。
人影は、言った。
「ようこそ…良く来たね。君は1149人目のお客さんだ。さあ、どうぞ中へ…」
「もう、行くのかい?」
洋館を出ようと靴紐を結んでいれば、声が聞こえる。
振り返り一つ頷けば、「そう」と微笑みが返ってきた。
「また何時でも、遊びにおいで」