短編集ー

□侵入者
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「誰だ。」



それは月がやけに明るい一夜のお話…

















長官に呼ばれて戻ってきた俺はすぐに室の中に誰かがいるのに気づく。

辺りはもう日が落ち、月明かりも室の中までは照らしてくれずよく見えなかった。


「俺の室で何をしてる。」


中には大事な仕事の書翰が沢山ある。
盗まれたりでもしたらまた、冗官に落とされるかもしれない。

慎重に中へと歩を進める。


(クソ…真っ暗でよく見えない……何処だ?)


そこらじゅうに積み上げている書翰の山を手探りで通路を歩く。



ガタ…………ッ


「(!)」


物音のする方へ進む。気配で手の位置がわかった。


ガシッ


「痛っ……」


手を強く掴んだ瞬間にもれた声に一瞬動きが止まってしまう。
掴んだ腕はか細く華奢な腕だった。


掴んでいる手の力を少し緩めて月明かりが照らす回廊にその侵入者を連れ出した。







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