君に届け

□君に届け[終]
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「寺本先輩…おはようございます」
「あーはよ…」
 祐二は軽い欠伸をした。
「どうしたんですか?」
「いや…昨日徹夜してな…。たいしたことじゃねぇんだ。ただ…宿題を終わらせてなかったから大変で…」
「そうなんですか…。珍しいですね。先輩が宿題に手間取るなんて」
 祐二のことを誰よりも理解している悠は不思議に思い、首をかしげた。
「おはよー!」
 祐二が答えようと口を開いた時だった。突如扉から元気な声がして雅芳が悠に抱きついてきたのだ。
「!!びっくりしたぁ。おはよう…」
「ん?那智はどうしたの?」
「んぁ…今日は二人とも休むらしいぞ」
 実は那智は高熱で倒れ療養中。
 和樹は寝不足と、那智がこれから安心且つ安全に暮らせるという事に安堵し、今は自宅で眠っているという。
「先輩。何でそんなこと知ってんですか?」
 雅芳と一緒に登校してきた栄司が素朴な疑問を投げかける。
「お前には関係ない」
「冷たいっすね」
「お前は…拍手お礼のページもこんな感じでぐだぐだだったよなぁ」
「俺たちは根本的に合わない性格同士なんですよ」
 以前の拍手お礼はかなり最悪だった。
「んー、帰りに那智んとこお見舞いに行ってこようっと」
「俺も行く」
「僕も…」
「俺は遠慮しとくわ。クラブあるし…」
「そうですね…」
 少し寂しそうに答える悠に微笑し、皆に見えぬよう額にキスをした。
 ぼぉっと頬が熱くなって、赤くなっているのがわかる。
「じゃあな」
「じゃあね♪先輩」
「敬語を使え敬語を…」
「さようならー」

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