その果てに

□基本形
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体を起こし寝台に腰掛る。そうして陸抗の手に握られていた書簡を奪い去る。

「あっ‥」
ちょっとムッとした陸抗に
「俺は次にコレを読みたかったんだ」
と言って、自分の足を数度ポンポン叩く。
すると陸抗は嬉しそうにトウ艾の脚の間に体を置く。そうして向き合う様な形になると、そっと片手でトウ艾の顎の下を撫で始めた。
トウ艾は手を回し陸抗を抱き込むような形で書簡を広げた。書簡に視線を落としつつ、すべすべとした柔らかい手の感触に集中してしまう。

「楽しいのか?」
「楽しいと言うか‥」
「言うか?」
「言いにくいです」
「そうか」

別に答えを求めていたわけではないのでソコで会話は途切れ、次第にトウ艾は書簡に意識を集中させていった。

そうして書簡を読み終え次の書簡に手を伸ばそうとすると、手の感触が無くなっていることに気付いた。

「幼節…?」

視線を下に移すと陸抗はトウ艾の胸にもたれ掛かるようにして眠っていた。
起こそうとも思ったがスヤスヤと気持ちの良さそうな寝息を立てる陸抗を無理矢理起こすのも忍びなく、そのまま寝かせてやることにした。
そうしているうちに睡魔が襲ってきて、トウ艾も陸抗を抱えたまま壁を背にして瞳を閉じた。






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