その果てに

□お家に帰りましょう
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魏に親睦の使者としてやってきていた陸抗も、やはり帰らなければいけなくなったりする。
今回は孫策から書簡が届いた。そこにはただ一行、

俺の孫返せ。ちょっとだけでも帰せ

とだけ書かれていた。
曹操は大いに笑い一時帰国のような形で陸抗を呉に帰省させることにした。

「誰か陸抗と共に呉に…」

言い終える前に曹操は面白いことを思いついた。

「そうだ、羊コとトウ艾がいいではないか!」

面白そうだからという言葉は飲み込んで曹操は書簡にその胸を伝えた。
コストが余ってしまったので張遼もつけてあげることにした。そんなに大人数で行っても仕方ないとの配慮だったようだが、この人選が実は大穴であったと後に曹操は語る。

何故ならば…



「申し訳ありません張遼殿…」
「お気になさるな陸抗殿。仕方の無いことなのだから!」

陸抗は呉へと向かう道中を張遼の馬の上で過ごしていた。弓兵なので他の馬の人々と共に走るには無理があったのだ。
仲が良さそうな二人を見ながら羊コはトウ艾を睨み付けていた。

「貴方があそこで変なことを言わなければ幼節は私と一緒の馬に乗るはずでしたのに。そんなに大きくては馬が可哀そうですよ。」
羊コが棘を含ませた言葉を浴びせれば
「お前とて以前落馬したことがあるのだろう?そんな奴にアイツを任せられるか。羊にでも乗ったらどうだ?」
トウ艾もそれを返す。
そうして二人で睨み合う。もちろん火花がバチバチ散っている。

陸抗は一番安全そうな張遼の馬を自主的に選んだのであった。





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