その果てに

□綺麗になりまっしょ☆
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「幼節、今はお暇ですか?」
「叔子殿?」

部屋で書簡に目を通していた陸抗は親友の突然の来訪に驚きつつも顔を綻ばせる。

「今は特に何もしておりませんよ。よろしかったら一緒にお茶でもいかがですか?」
「では、お言葉に甘えまして」

羊コは陸抗の言葉を耳にすると大きな包みを抱えて室内に入ってきた。

「…叔子殿、その包みは?」
「幼節にプレゼントです」

微笑む羊コの言葉を疑うこともせず陸抗は「ありがとうございます」と言ってその包みを受け取った。

「よろしければ開けていただけませんか?」
「はい」

結び目を解くと同時に陸抗の目に飛び込んで来たのは…

「…綺麗ですね。」
「浴衣と言うそうですよ。」

深い青を基調として幾重にも施された刺繍が美しい衣。他にも帯や簪など小物までもが揃えられている。


この時陸抗は知らなかった。
浴衣が…

「よろしかったら着てみて下さい。絶対にお似合いですから!」
「はい。叔子殿の好意を無駄にするわけには参りませんし、是非着させていただきますね。」


女性が着るものだと。










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