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□本の世界の出会い
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歩いている間、オレの頭の中にはずっと女の子の顔が消えなかった。
なぜ、こんなに気になるのか分からない。
今まで助けた子供たち同様、あの子を助けたいという気持ちはもちろんある。
だが、何かが違う・・・。
胸がズキズキと痛むような、ギュッと締め付けられているような変な感覚。
(気持ち悪い・・)
オレは下を向いたまま歩く。
ドンッ!
「わ!」
「わっ!」
オレはぶつかった反動で、尻餅をついた。
「あ、すいません。大丈夫ですか?」
ぶつかった相手は、道に座っている状態のオレに素早く手を差し出した。
「オレこそ、すいません。よく前みてなくて・・」
オレは差し出された手を掴み、立ち上がってぶつかった相手の顔を見上げた。
相手の顔を見てオレは目を丸くした。
相手も驚いているようだ。
(オレそっくりな女?)
オレは失礼ながら相手の頭の先から足の先まで見た。
オレと、オレそっくりな女の違いといえば、背と胸の膨らみぐらいだ。
「アイ〜、何してるのー。早く行くよー」
自分を呼ぶ声が後ろから聞こえた。
少し離れたところで、小さい女の子がいた。
紫色の髪、先ぽだけ見えているピンク色のリボンをつけて、大きな紫の色の瞳はオレではなく、もう一人の『アイ』と呼ばれる女を見ていた。
(名前まで同じ・・・・)
「あぁ、今行くー。本当に悪かったな」
『アイ』という女はもう一度謝ると、呼んでいる女の子の方に走りよって行った。
オレは2人が人込みに消えるまで見ていた。
見えなくなり、オレは止めていた脚を動かす。
「もうそろそろ、帰るか・・・」
上を見上げると、低かった太陽が真上にきていた。
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